京都地方裁判所 昭和40年(行ウ)13号 判決 1966年2月23日
原告 松岡与一
被告 亀岡市
右代表者市長 大槻嘉男
右訴訟代理人弁護士 納富義光
主文
原告の本件訴を却下する。
訴訟費用は原告の負担とする。
事実
原告提出の訴状にはつぎの記載がある。
請求の趣旨
一、亀岡市が亀岡住宅公社に対し貸付している貸付金を亀岡市が事実の通り返済を受けること。
二、曽我部簡易水道の借入金を支払いせよ。
原因
一、亀岡市は亀岡住宅公社に対し毎年四月一日に七千五百万円を貸付なし又毎年三月三十一日全額返済を受けたと公表なし事実は返済しておらない。
二、亀岡市は曽我部簡易水道建設に当り全額借入れ市の帳簿にも記載されずよって地方自治法二四三条の示す通り真実の財政を公表すべきであるのにかかわらず虚偽の公表をしている。
三、亀岡市の将来のため法に基づいて正常な行政を得んがため右の訴訟に又んだ次第であります。
理由
原告の本件訴は、地方自治法第二四二条の二(住民訴訟)第一項第三号所定の「怠る事実の違法確認」の訴である。と解するほかはない。
ところで、地方自治法第二四二条の二によれば、普通地方公共団体の長若しくは委員会若しくは委員又は普通地方公共団体の職員についての、「怠る事実」(違法若しくは不当に公金の賦課若しくは徴収若しくは財産の管理を怠る事実)の違法確認の訴は、「怠る事実」があるとの主張を受ける当該執行機関又は職員を被告としなければならない。
したがって、亀岡市を被告とする本件訴は、被告とすべき者を誤った訴であり、訴の適否に関するその余の判断をなすまでもなく不適法として却下を免れない。
よって、民事訴訟法第八九条を適用し主文の通り判決する。
(裁判長裁判官 小西勝 裁判官 石田恒良 福島裕)